はじめに~収益不動産投資の基本~

不動産を所有し、お部屋を希望者に貸し、その対価として賃料をいただく、きわめて単純で分かりやすいビジネスが収益不動産経営になります。一言で不動産といっても、様々な種類がございます。その中でも本記事では一棟ものの収益不動産についてお話しようと思います。
収益不動産投資の魅力とリスク
少ない資本投入で毎月収益を生み出す不動産が持てるのが最大の魅力です。不動産の担保余力と個人の信用力で数千万円から数億規模の融資を受けられるので、必要な頭金=自己資金は一部のみとなります。
ものによりますが、不動産は毎月利回り10%前後の収益を生み出すので、投下した資本の金額を考えると収益率はとても高いです。ただ、不動産の良し悪しで収益率も決まってしまうので、融資が受けられるからといってなんでも買ってよいわけではありません。
投資前に知っておくべき基礎知識
では不動産を買うにあたってどのような勉強が必要なのでしょうか。
何冊も勉強のための本を読む必要はありませんが、最低限の知識は必要です。少なくとも収益評価と積算評価に関する用語は理解しておく必要があります。これらはインターネットで簡単に調べられます。
また、ある程度の相場観の把握も必要です。不当に価格の高い物件を購入してしまう可能性がございます。こちらは楽待、健美家さんなどの不動産ポータルサイトに掲載されている物件と見比べればある程度正しい情報を入手できると思います。
成功投資家のマインドセット
また、良い不動産を買えば絶対に成功する、というわけではありません。不動産「投資」という言葉を使っていますが、実際には不動産賃貸業という事業です。自分自身が事業主=経営者である自覚を持って始めるべきです。
自身の経営判断が全てなので、他責にしてはいけません。必ず当事者意識をしっかりと持ち、不動産経営を始めましょう。皆様のご本業はお忙しいのは重々理解しておりますが、それを言い訳にしてしまうのであれば不動産以外の投資がおすすめです。
購入すべきでない物件の特徴

不動産を探し始めたらどのような点に注意すれば良いでしょうか。
今は少し調べれば物件の情報がたくさん出てくるので、物件を探すだけなら簡単でしょう。物件情報を見比べて、買いたいと思うような不動産が出てきましたら、まず現地の確認をご自身ですることをおすすめいたします。
不動産会社さんも勿論調査をしていただけるのですが、常に一棟ものを扱う不動産会社は意外と少なく、後から問題が出てくるケースが少なくありません。いくつか分かりやすく注意しておくべき点を把握しておきましょう。
高リスクな立地条件の物件
まず、入居者を単一の何かに依存しているエリアは注意が必要です。大学や工場、災害の復興需要などです。またハザードマップに該当するような、津波・洪水・土砂崩れの可能性があるエリアはダメとは思いませんが、火災保険にしっかり加入するなどのリスクヘッジが必須です。
隣に社会的に問題があるような施設があるのもよろしくないでしょう。ただ、この場合はまず融資が受けられませんので、そこまで気にする必要はないかもしれません。
老朽化が進んでいる物件
また、築年数が40年以上経過して大規模修繕工事をしていない物件は注意が必要です。雨漏れ、外壁の剥離などにより費用が発生する可能性があります。このような物件を購入する場合は、引渡し後に遅滞なく工事をすべきです。
法律的・行政的な問題を抱える物件
分かり辛いポイントですが、法令的な問題がある場合もございます。これについては不動産会社が調べていただけますし、契約時の重要事項説明でもお話がある内容です。
ただ、契約直前に破談にするのは誰にもメリットがないことなので、ある程度最初の段階で理解していたほうがおすすめです。多くは物件の概要書(マイソク)の備考欄などに記載がございます。
よくあるのは都市開発の事業が計画されている場合です。その事業が施行される場合は、土地の区画整理や新しい道路の開発で建物の解体を求められるかもしれません。その場合はある程度の交換条件になりますが、ややこしいことを避けたいのあれば意識しておいた方が良いです。
またレアケースですが、航空系の施設が近くにある場合は防音の補強工事を求められる場合があります。費用は払う必要ないのですが、入居者の全退去が必要なこともございます。こちらも面倒を避けたい場合は留意してください。
財務面での赤信号

さて、不動産を購入できた後のことも考える必要がございます。本番は賃貸経営でございますので、長く運営ができない可能性がある物件はリスクが高いです。
分かりやすい項目ですとエレベータ費用や浄化槽点検費用等の高額なランニングコスト(運営経費)がかかる物件です。運営にかかるコストは必ず確認をしましょう。賃料収入の25%を越える場合は購入の見直しが必要かもしれません。
不透明な収益構造を持つ物件
また、大規模修繕が必要だと想定される物件も危険です。
高額になりやすい修繕工事として代表的なものは外壁塗装工事です。上記でも触れましたが、築年が経過しているにも関わらず大規模修繕を全くしていない物件は、購入後に高額な修繕が発生する可能性が高いです。
建物や設備そのものに問題がある場合は想定できないほどの費用が発生します。建物の傾きや水害で電気系統が壊れてしまっている場合などです。このような物件はよほど自信がある方を除き避けたほうが良いです。
高額な修繕費用が見込まれる物件
その次は周辺の施設です。周辺環境に影響を及ぼす施設はたくさんございます。ごみ処理場、刑務所、暴力団事務所など売買の時に告知しておくべき施設ではございますが、その中に墓地、お墓もございます。
もちろん気になってしまう人もいると思いますが、経験から言うとそんなに嫌がる人はいない印象です。筆者自身がお墓の近くの賃貸に住んでいたこともあるからかもしれません。
実際に売買に携わった物件にはお墓の近くのものはたくさんありますが、そのせいで入居付けに困っているという話は聞かないです。
融資条件が不利な物件
そして融資もとても大切なファクターです。詳しく触れませんが、収益物件は金利や返済年数など融資条件でキャッシュフローが大幅に変わります。
賃料に対していくら返済をしているかの指標として返済比率という考え方がありますが、こちらが70%を超える場合はリスクが高いです。50%を下回る場合は良い融資条件と判断していただいて結構だと思います。
どのような融資を受けるのかはケースバイケースになりますが、融資条件がわるくなりやすい物件は認識しておく方が良いでしょう。利回り、残耐用年数、積算価格、少なくともこの3つのワードは理解が必要です。
マーケット動向とのミスマッチ

物件を運営するに際し重要なものが賃貸需要です。単身向けと家族向け、賃料帯、設備、駅の近さ、駐車場が戸辺り何台あるか等々、どのような条件が人気なのかはエリアによって異なります。
市街地中心にある物件ならばそこまで購入時に気にする必要はないかもしれませんが、高利回りの物件は総じて中心地からは外れた場所にございます。空室の多い物件はもちろんですが、満室の物件でもどのようなニーズがあるのかは確認しておきましょう。
供給過多であるエリアの物件
一見してよさそうに見えても賃貸物件が供給過多になってるエリアもございます。ネットでは調べることができませんので、現地の不動産会社様に聞いてみましょう。
そのエリアの空室率、AD(広告費)の平均額の最低2つを聞けばある程度の判別が可能です。空室率は言わずもがな、必要なADが高い場合は客付け競争が激化している=供給過多なエリアであることが分かります。
高い・低いの判断は難しいところですが、賃料の3カ月よりも多いかどうかで判断すると分かりやすいかもしれません。
需要の低下が予測される物件
当たり前のことですが、大学や工場の移転があると賃貸需要は大きく低下します。移転がある前にはいくつか兆候がありますが、売買に出る物件が多くなるのが分かりやすいかもしれません。
それらは今までであれば考えられないような良い条件であることもあります。違和感をもったら自分で調査をすることが大事です。すぐに分かります。
将来性の乏しい地域の物件
また将来的に運営できるかどうかも考えるべきでしょう。全国的に人口は減っていますが、その中でも注意すべきエリアはございます。
高齢者が多く人口が減っているようなエリアは避けたほうが良いでしょうか。またダムや新幹線などの公共事業で一次的に賃貸需要が高くなっている地域もございます。これらも将来性的な運営が厳しいと考えて間違いないでしょう。
まとめ~成功投資家から学ぶ、賢い選択とは~
ここまでの内容は指針のようなもので、全て実施すれば成功するとは限りません。ですが、これらに加えて、自分なりにルールや決まりを定めていれば自主的に動けるのであれば失敗することは少ないと思います。
実際に成功している人の共通点は上記でもお話したように、自身が経営者だという自覚を持っているところです。不動産経営に正解はありません。自分なりの正解を見つけることが大切だと考えます。
失敗事例から学ぶ
ただ、失敗した人の体験談を聞いておくことには価値があるかもしれません。
明確な失敗事例として2018年1月にニュースになったかぼちゃの馬車のシェアハウスがあげられます。皆様の記憶にもまだ新しい事件だと思いますが、大家様側が取り上げられている記事もございます。
不正融資的な側面が取り上げられることが多いですが、それよりも気を付けるべきはサブリース契約です。かぼちゃの馬車でなくともサブリース契約付きの不動産売買でトラブルになるケースは多いです。
上記のお話ともリンクしますが、周辺相場よりも高い賃料でのサブリース契約はいずれ破綻しますし、相場より低い場合は破綻することはないのですが差額を半永久的に搾取されてしまいます。甘い話には裏があることをよく理解しておくべきです。
購入前に行うべきチェックリスト
最後に弊社が注意している点を箇条書きいたしました。一部ではございますので、最低限しておいた方がよい項目とお考えいただくと良いでしょう。
・外壁タイルの浮きはないか。
・廊下の天井に雨漏りの跡はないか。
・屋上の状態はどうか。
・消防の点検はされているか。
・受水槽、貯水槽、浄化槽の点検はされているか。
・エレベーターの点検はされているか。
・異臭異音はないか。
・駐車場台数は何台か。外部に借りれそうな駐車場はあるか。
・駐輪場はあるか。放置自転車はないか。
・前回の清掃日から考えて共用部の汚れの状態はどうか。
・郵便受けがチラシでいっぱいになっていないか。
・ゴミ箱があふれていないか。
・空き缶空き瓶などのゴミは共用部に落ちていないか。
・プロパンガス会社はどこか。契約書はあるか。
・明らかに越境しているものはないか。
・明らかに越境されているもので困るものはないか。
・レントロールの賃料にばらつきはないか。
・運営経費と賃貸マイソクの設備はリンクしているか。
・空室は原状回復で済むか、それともリフォーム、リノベーションが必要か。
・天井の四隅や出窓の周りに雨漏りの跡はないか。
・カビの跡はないか。
・下水の匂いではなく気になる臭いはないか。
皆さまの不動産経営がうまく行くことを願っております!